自然派ワインの中心産地のロワール地方。
ここで、自然派の造り手として常に脚光を浴び続けているティエリー・ピュズラ。
彼の送るvdtクラスのお手ごろワインです。
■ティエリー・ピュズラ
マコンの醸造学校を卒業後に、
サンテミリオンのクロ・フルテで約1年、
プロヴァンスのラ・トゥール・デュ・ボンで4年間ワイン造りを学び、
1994年から父の畑を兄と共に継ぎ、自らのドメーヌである
「クロ・デュ・テュエ・ブフ」を設立したティエリー・ピュズラ。
その後、周囲の期待に答えるように、
1999年にネゴシアンとして「ティエリー・ピュズラ」をスタートさせます。
当然、ここでのワイン造りもクロ・デュ・テュエ・ブフと同様に
ビオ栽培、自然酵母の使用、ノンフィルター、So2 添加抑制など
自然な農法にこだわっています。
これによって、生産量の少なかった彼のワインも、
より多くの人が楽しめるようになりました。
■ヴァンクゥール・ヴァンキュ
ヴァン=「ワイン」。クゥール=「心」。キュ=「お尻」
の意味を持つこのワインは、ティエリー・ピュズラ氏と輸入元である、
ヴァンクゥール社との友好関係の証として造られました。
そのためか、ラベルには、可愛らしいハートが2つお尻のように描かれています。
ヴァンクゥール・ヴァンキュシリーズは、法の規制のないvdtクラスですが、
現行のものは、08年のブドウを使用しているとの事です。(ヴィンテージ表記なし)
■ネゴシアンとして

自社畑のブドウを使用するドメーヌのものとは違って、
ネゴシアンものは買い付けたブドウを使用します。
よってネゴシアンものは、多少品質が劣るといわれがちですが、
ピュズラ氏のワイン造りは、ネゴシアンもドメーヌも
同様にそれぞれのブドウの特徴を活かすワイン造り、
テロワールの反映を第一に考えています。
その一番の方法が自然派としてのワイン造りであり、
さらに良い方法があれば取り入れていくそうです。
08年のヴァンクゥール・ヴァンキュは、
アラン・コクトー、ブリュノ・アリオン、ジョエル・コクトーらが、
ビオで栽培したガメイ種、グロロ種を使って造られています。
イチゴやフランボワーズのジャムのような甘い香り、
キリっとした酸のドライな味わいで、
気取らず親しみやすいワインに仕上がっています。
■人工コルク
人工コルクを使用しているワインをよく見かけます。
医療用に開発されたサーモプラスティックから造られている
人工コルク(シンセティックコルク)は、
ニューワールドなどの安価なワインによく使用されていた事もあってか、
安っぽいイメージが先行していました。
しかし、自然派の生産者を中心に
人工コルクやスクリューキャップの使用が増えています。
科学的にも人工コルクの持つ天然コルク以上の優位性は証明されていますし、
ブショネを防ぎ機密性も高く、再利用も可能。
これらの点からも、伝統的付加価値よりも、
自然環境などを優先して考えているワイナリーが
人工コルクを使用しているのも納得できます。
天然コルクの使用は年々、減少傾向にあるようですが、
高級ワインの産地では安価なイメージのある人工コルクはほとんど使用されていません。
「人工コルク」=「安価なワイン」消費者側にあるこのイメージが、
良質な自然派ワインを飲む事で変わっていけばよいのですが。
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