安くて旨いワインを造る事でも知られている、ローヌのエステザルク葡萄栽培者組合。
このメンバーとしてワインを造っている、グレ・サン・ヴァンサンのワインです。
■エステザルク
ローヌ河の南部、アヴィニョンの南西側に位置するエステザルク村。
この村にワイン醸造に関する協同組合が出来たのは、
1965年のことでした。
フランスで最も小さな協同組合であるエステザルク葡萄栽培者組合は、
10のドメーヌから構成されています。
この協同組合では、それぞれが自分の畑は自分達で管理をして、
収穫されたもっとも出来の良い葡萄の1/3をそれぞれが
ドメーヌ物として出荷し、1/3は組合名で瓶詰めされ、
残りの1/3はネゴシアンへ売ってしまいます。

畑の管理は、個々で行っていますが、
全ての畑が
「テッラ・ヴィティス」(国際認証機関B.V.Q.Iが認証活動を行っている)
の認証を受けており、ビオロジック、
またはリュット・レゾネによって栽培が行われている、
自然派の作り手達です。
テッラ・ヴィティスとは、「大地のワイン」の意味があり、
農薬や除草剤を使わない農法によって、
果実味と土壌の可能性を生かすワイン造りを
行っている畑が認証を受けています。
■協同組合のワイン
価格が抑えられていて、味わいもそこそこ美味しく、
ハズレのないリーズナブルな共同組合のワイン。
そんな
イメージを覆すエステザルク協同組合のワイン造りは、
農機具や新しい醸造設備など等を共同で購入したり、
お互いにアドバイスすることで、
品質向上に向けて全面的に協力し合える利点も大きいのですが、
この組合をここまで育て上げたのには、
ジャン・フランソワ・ニック氏の
存在があったからこそです。
■ジャン・フランソワ・ニック
現在は、エステザルクから独立をして自らのドメーヌである、
フラール・ルージュでワインを造っているジャン・フランソワ・ニック。
1989年から2001年までの間、
エステザルクの醸造責任者として
毎年、何万トンものワインを一人で仕込んでいた
ことも驚きますが、
彼が大改革として行ったのは、全ての畑での栽培方法をまずは、
リュット・レゾネ(減農薬農法)に変えさせることでした。
今ほど自然派のワイン造りがメジャーでは無かったため、
協同組合全体として、
リユット・レゾネを取り入れているのは皆無でした。
■エステザルクのワイン造り
自然派ワインであるために、化学物質を一切使用しない「ビオロジック」
あるいは、極力農薬を使用しない
「リュット・レゾネ」によってブドウは栽培されます。
高い樹齢のブドウが多く、さらに土壌の個性を生かす為、
区画ごとに分けて平均30hl/haという低収量で収穫されています。
土着の天然酵母を使用して行われる
発酵から熟成の間は亜硫酸は無添加で進み、
ろ過はしないでノンフィルターで瓶詰めされています。
濃い紫色をし、ブラックベリーやカシスの
ジャムのような凝縮感のある、はっきりとした果実味。
スパイシーさとごまを思わせるこのワインは、
甘味を感じる飲み応えのあるフルボディーに仕上がっています。
エステザルクは、協同組合としては異質な存在として
美味しいワインを造り続けています。
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