チリワインの大ブームの後、年々品種が低下していくチリワイン。
その中で、かなりの評価を得ているディ・マルティノ家の造るワインです。
■チリワインブーム
「濃くて安いワイン」、「チリワインにしては・・・」
などの言い訳をしてしまう事も多いチリワイン。
約10年前、世界的にチリワインブームが起きたのは、
フランスやイタリアなどヨーロッパの一流醸造家が、
最新の醸造技術を導入することで、
国際レベルのワインを安価に提供できる様に
なったことから始まります。

しかしその後、無秩序な大量生産は
多くのワインファンをがっかりとさせることとなり、
ブームは、瞬く間に終わりを告げます。
■チリは、変わった
今、チリは変わっています。
かつての粗製乱造を悔い改め、
高品質を目指す方向へと転換し始めています。
まずは、良いブドウを造ることを考えました。
今まで広がっていた、肥沃で水はけの悪い谷底の平地では、
良いブドウを育てることは難しく、畑の適正を見直しました。
畑を斜面にすることで、点滴潅漑を敷設せねばならず、
農作業も大変になる一方で、風通しが良く、
痩せた土壌からは小粒で凝縮感のあるブドウが収穫可能となりました。
■イスラ・デ・マイポ
マイポ・ヴァレーのイスラ・デ・マイポ村に本拠地を構える
サンタ・イネスは、1934年にイタリアからチリに移住してきた、
ディ・マルティノ家が設立したワイナリーです。
イスラ・デ・マイポとは、「マイポの島」の意味ですが、
島があるわけではなく、その昔に中洲として取り残された土地の
片方の支流の流れが、火山や地震によって止まった土地を、
チリのワイン法がマイポ・ヴァレーの中の1地区として特別に認定された畑です。

アンデス山脈の麓で、理想的な気候に恵まれたチリの中でも
最高の地域をさらに、衛星写真を使用して厳選した
約300haの畑をディ・マルティノ社では所有しています。
ここでは全ての畑はオーガニック栽培を実践しており、
温暖で乾燥しているこの土地では、
病気や害虫などはほとんど発生しないので殺虫剤も一切使用せずに、
発酵も天然酵母のみを使用して造られている、
チリ産のビオワインをディ・マルティノ社では造り上げています。
■マルセロ・レタマル氏
優れた醸造家も、高品質のワインを
仕上げるために必要な条件の1つです。
サンタ・イネスの醸造責任者を
任されているマルセロ・レタマル氏。
チリで屈指の醸造家の1人である彼は、
チリで最も支持されているワインガイド誌
「ギア・デ・ヴィノス・デ・チリ」が1年間に1人しか選出しない、
チリワイン界で最高の称号でもある、
「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー2004」を受賞。
国内のみならず、
海外でも2005年にイギリスで開かれた、
「インターナショナル・ワイン・&スピリッツ・コンペディション」にて、
「チリワイン・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、
国内外を問わず高い評価をされている醸造家です。
チリワインの熟しすぎた果実味ではなく、引き締まったタンニンは、
ボルドーの味わいに近づきつつあるような気がします。
本格的なワイン産地としての地位を、チリも築けるのかもしれません。