コストパフォーマンスの高いワインとしてお馴染みのカバ。
お手頃価格でありながら、ヴィンテージ入りという珍しい一本です。
■カバ
世界のスパークリングワイン市場で、
フランスに次ぐ第2位のシェアを獲得しているカバ。
元来、在来品種に重きを置いているのがスペインの特徴です。
カバにおいても例外ではありません。
カバの歴史は、カタルーニャ州・べネデス地区のワイン生産者、
ホセ・ラベントスがシャンパーニュ地方に滞在したとき、
シャンパンの醸造法を研究し、
学んだ技術と醸造機器を持ち帰ったことに始まります。
しかし、ラベントスは、シャンパーニュ地方のブドウ品種は持ち帰らず、
べネデス地方の品種、ビウラ、パレリャーダ、
チャレッロの3品種のブレンドとシャンパーニュの技術を応用して、
1872年にカバを誕生させました。

早飲みのカバには、ビウラを主体とし、
熟成させるカバには、チャレッロが主流となります。
ガルナッチャとモナストレルは、ロゼに使用されます。
1986年よりシャルドネが、98年よりロゼに限って
ピノ・ノワールが認定された事によって、
徐々に国際品種と栽培面積が広がりつつあります。
■趣味から始まったワイン造り
数あるカバメーカーの中でも歴史が古く、
スペインを代表するメーカーとして知られている、
ロジャー・グラート家。
創業は1882年。自家消費用のスパークリングワインを
シャンパーニュ方式を用いて造ったのが、最初の歴史となります。
商業ベースでなかった為、量よりも質を重視したスタイルのワインは、
高い評価をうけ、口コミで広まり趣味から始まったのもが、
商業化されたワイナリーの1つです。
今でも、その当時のような採算や生産性を度外視した
丁寧な造りを継けています。
■独自のスタイル
ロゼのガバの作り方として、
白ワインと赤ワインをブレンドするのが一般的な方法ですが、
ロジャー・グラートでは早朝のまだ薄暗く涼しい時間帯にブドウを収穫し、
約1時間のマセラシオンをすることで、
自然な深みのあるピンク色を抽出してから、
醗酵させる独特のスタイルで造っています。
ベースワインも厳選したものを使用しており、
一番絞りの中のさらに良質な50%だけを贅沢に使っており、
カバとしては珍しいヴィンテージ入りのワインに仕上げています。

カバの熟成期間として、2次醗酵から澱引きまで、
最低9ヶ月が義務づけられていますが、
このロゼは18ヶ月の熟成を行っています。
ちなみに、熟成期間が30ヶ月を超えるものは、
「カバ・グラン・レセルバ」と表記され、
熟成カバと呼ばれるようになります。
早飲みのスッキリとした味わいから、熟成させた複雑さを持ったものまで、
色、味ともに幅広いカバですが、ロジャー・グラートのように、
これだけ贅沢な作りからこそのボリューム感のある
しっかりとした飲みごたえ。
それでいて2千円以下とは、うれしい1本です。