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ヤマノネ マチノオト
2008年5月15日
僕が育った小学校は藻岩山のふもと、
現在の中央図書館の位置にあり
課外学習では藻岩山によく登り札幌の景色を見ていた。

僕の風貌が変わっていった様に札幌の風景も変わっていた。
澄んで見えた札幌も今は何処かうっすらと
曇って見える気がしたのは色眼鏡のせいだろうか。

時間と共に景色が変わって行くのは至極当たり前の事。

藻岩山ロープウェイ入り口から
徒歩約20分位で登れる散策道がある。

散策とは言え山は山、運動不足の僕には立派な登山。
ふくらはぎは悲鳴をあげ、古傷のある腰は
僕自身を甘やかそうとするのを感じるが、
精神力で体を甘やかしはしなかった。

脳が体を支配している。

道すがら名も知らない鮮やかな青や白い花に目を奪われ、
うっそうと茂る木々の隙間から札幌の街が見える。

都会の中で自然を楽しみながら
街を見下ろす事が出きるのは贅沢なのか否か。

山の麓まで侵食したマンション郡、
絶好のロケーションの中での生活は
毎日がマイナスイオン。

生き場を失ったキタキツネは
野良犬のように街へくりだしゴミを漁る。

野獣が街に下りたのか、人間が山を奪ったのか。
鶏・卵。

目的地の「原っぱの森」は閑散としており
人の気配はまるでない。
設置されていたベンチも色あせ、
人工池は干上がっていた。

何年か前にも登った事があったが
その頃と変わっていない所をみると
ほぼ管理されていないのだろう。

木々に囲まれた広場は寂しさを感じさせもするが、
風が吹くと木の葉と鳥達が音を奏でる。

ビックバンドのコンサート会場にいるような臨場感。
生音とはこの事なのだろうか。

傾斜した広場に風呂敷を広げ
朝作った弁当とアウトドアお茶セットに火をかける。

手の平に収まる位の急須に新茶を入れ
固形燃料でお湯を沸かし、
沸騰したお湯を60度位まで冷ましてやる。

丁度ピンポン玉を二つに切った位の
大きさの有田焼きの湯飲みに、
急須を傾けると翡翠が流れ波紋が広がる。

青々しい新茶の香りが目を閉じると
八十八夜の段々畑を見せた。

もっさりとお茶をすすっていると、
超低空飛行の黒い影が頭をかすめていった。

家を出た時間が少し遅かった為に
カラス達の帰宅時間とぶつかってしまい、
気が付くと無数の黒い影に
威嚇されながら囲まれていた。

人間と野生の共存は難しい。
お邪魔しましたと言わんばかりに
すごすごと荷物をまとめ、
下山しながらオニコゴミに目を奪われる。

ジュラ紀の植物を彷彿させるフォルム、
あの時代から何が変わったのだろうか。
数々の山菜を目にしながら自然の形を見直す。
山菜は究極の有機野菜なのだ。

足元が土からアスファルトに変わった頃、
山から下りた時にいつも感じるイライラ感。
街の騒音がやたら鼓膜を刺激する。

こんな音の中で生きているのだなと山を見上げ、
自分も騒音の一部なのだな
心なしか小さな声で話しをしていた。





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