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コラムインデックスビストロTamasa>Cher Ami 〜 親愛なる友へ 『第1章』
Cher Ami 〜 親愛なる友へ 『第1章』
2009年2月19日
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私の働くビストロでは、年に一度いつも来て頂いている常連のお客様や
親しい友人を集めた大きなパーティーが開催される。
私の友人達もそのパーティーを楽しみにしてくれており、
わざわざ遠方から私の家に泊まりがけで参加してくれる。

私は友人達が私の家で快適に過ごせるようにする為に、
普段よりも「少しだけ丁寧な掃除」をする。

あまり使っていない、多少物置と化したその部屋を綺麗に片付けるのは、なかなか大変だ。
毎年片付けているのに一年たつといつの間にか部屋から物置に変貌してしまう。
全くもって不思議な現象である。

ビストロtamasa 私をよく知る人であれば不思議なことではないのかもしれない。

その年も、パーティーを前に「少しだけ丁寧な掃除」をすることにした。
しかし部屋を片付け始めてすぐ、私は写真の束を見つけてしまった。
私の意志は思いの外弱い。

掃除はとりあえず中断し、床に座りこんで
一枚ずつ写真を眺め始めた(不思議な現象に繋る理由の一つであろう)。

私が社会人になってから撮りはじめた懐かしい写真ばかりだ。
その多くは仕事に絡んだ写真で、店のパーティーで酔っ払いふざけあうシーン、
ウエディングパーティーの模様や、ディナーコンサート、送別会等の瞬間が撮られている。
それらの写真には店の歴史を感じさせるくらい沢山の人々が写っている。

人生とは生まれてから死ぬまでの、
いくつもの出会いと別れの繰り返しのことなのだろうか。
それが必然的なものか偶然的なものなのかはわからない。
運命的と言ってしまうと陳腐だが、時にそんなものを感じることがある。

掃除の最中に見ていた、ある一枚の写真の中に、私はラフの笑顔を見付けた。
ラファエル・ルモー。フランス人。男性。愛称ラフ。

秋色、澄み渡る空気の中に映える夕暮れの時間。
彼はなんの予告もなく、私の職場であるレストランの扉を開け店内に入ってきた。

外国人のお客様だ。 まずい。 語学に弱い私の胸中は穏やかではない。
あろうことかの逃げ腰だ。 しかしお客様である。
なるべく堂々と笑顔で話しかけた。
もちろん自信をもって日本語である。

彼は私の胸中を察してか、日本語で話しかけてきた。

「ここで働けませんか?」

日本語ではあるが、話しの内容に戸惑う私に彼は切々と語り続けた。
フランスからやって来たこと、日本に来て中々職にありつけないこと、
生活が苦しく困っていること、日本がとても好きだということ。
最後、決めの台詞にこう付け加えた。

ビストロtamasa 「ここはフランス料理店ですからフランス人が必要でしょう。」

…私は段々彼のペースに巻き込まれ、次第に、
ああ、フランス料理店にはフランス人が必要なのかもしれない…
よく見てみれば、背は低いがオリーブグリーンの柔らかな巻き毛、
ライトブラウンの瞳、端正な顔立ち。外国人スタッフがいるだけでお客様も喜ぶし、
私がフランス語を学ぶチャンスかもしれない。
しかも彼は日本語を話している。安心だ。

様々な暗示にかけられた挙げ句、勝手に夢が膨らみ、
彼の痛切なる心情に対する情も相まって、
是非うちのボスに心底掛け合ってみようと心ときめくまでに至った。

私の熱演が心に響いたのか、年末前の忙しい時期であった為か、
それとも私と同じく相当単純なのか、ボスは彼を採用した。

ラフは私が初めて深く関わりを持った外国人となる。

第二章に続く

かやの茶屋 ビストロ北海道
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水曜定休
【ランチ】(水・木定休)12:00〜15:00
【ディナー】17:30〜22:00
【ケーキ・カフェ・雑貨】12:00〜20:00
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