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映画・ジャズ・そして…【第2章】
2008年7月16日
第1章からのつづき・・・

私はピアノのあるレストランで働いているのだが、
日本屈指のジャズピアニスト、世良譲氏が食事に来たのだ。

氏はかつて、ブルー・スカイ・オーケストラに在籍中に頭角を現し、
'65年、ベルリン・ジャズ・フェスティバルで国際的にも有名になった方なのだ。

世良氏は、うちのボスの知人に連れられて来たのだが、
ほかのお客様が皆帰った後、世良氏はほろ酔いかげんでこう言った。

「ちょっと遊ぶか。」

世良氏は上機嫌でなんとピアノの前に座り、
おもむろに鍵盤のふたを開けて、
楽しげにピアノを弾き始めたのだ。

実は私は、かつてピアノを習っていたし、
有名な方のピアノのコンサートに行ったことも、
どこかのジャズバーでピアノを聴いたこともある。

が、だ。

あんなふうに目頭が熱くなるような
音色を聴いたのは初めてだった。

まじかで見ているのに、
目に見えないような軽やかで、しなやかな指の動きに対して
音はリズミカルで情熱的な上に楽しくてしかたないといった、
世良氏の感情まで伝わってきた。

ボスは、ソファに座り片手にスコッチ、片手に煙草を燻らしている。
短い時間だったが、プライベートライブは圧巻だった。

なんて贅沢な時間を頂いたんだろう。
あとは、私の両手にもスコッチと煙草でもあれば、
完璧にニューヨークのジャズバーの気分を味わえたかもしれない。

大変残念な事に、
世良氏は2004年に他界されてしまった。

あの日、サインを頂いた。
皆、酔っ払っており、その時は気がつかなかったが、
次の日見ると、色紙の裏面に
サインを書いてくださっていた事に気がついた(笑)。
お店の貴重な宝物である。

そんな事もあったせいか、何事にも好奇心旺盛、
チャレンジャーな私は、煙草にトライした。

役者志望の私の辞書に、
「できない」という言葉はない。



第3章へつづく…