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不毛な日々
2008年10月18日
「一雨ごとに寒くなるのよねぇ。」
すれ違うおばさんがそんな事を言っていた。
季語の様なものなのだろう。

そう言う事で寒さへの態勢をつけ
面倒な衣替えへのやる気をたかめているのだろうか。

気温の差があったり無かったり紅葉は中途半端に色付き
イマイチ盛り上がりに欠けるが、街に出かけビルという山を見上げると
ハウスマヌカンが紅葉をしている。

我先にと季節を感じ取り、爽快感のある香りがやや重厚な甘味を連想させるものに
移り変わり、涼しげだった青や白いヒラヒラのスカートは赤や黄色や茶色に様変わり
薄かった生地は厚手で重厚感を服にも表し、あの日手に届きそうだった君は季節を越え
いつの間にか遠くに行ってしまったかのようだった。

季節の足音はデパートが一番早いのかもしれない・・・・。

真面目に就労していない日々を繰り返していると人に伝えようにも
伝えることや感じる事が少なく、実際今も書く事に困っている。

僕のコラムは何かと自然の話題が多いと思うのだが、
生活や何かに煮詰まるととりあえず山に登ってみれば何とかなると思っている。

そんな訳で、今回も恒例の一人藻岩山登山を慣行した。
はっきり言うと今回は嫌々登ったと言ってしまうほど登りたくはなかった。
前の晩、リュックに荷物を詰める時点から全く乗り気がせず
ため息をつきながらシャツの替えとタオルを詰め、
ふて腐れながら目覚ましを8時にセットした。

床につきながら明日は雨が降ればいいな、などと考えながら、
晴天の朝を向かえ後5分後5分を繰り返すうちに1時間押しで嫌々シャワーを浴び、
嫌々自宅を後にし、照り付ける太太陽の日差しに恨みを感じつつ重い足を前に進めていった。

自ら選んだこの行為にたいして
なぜこんなに嫌々なのに登ろうとしているか不思議でしょうがない。

「そこに山があるから」
なんてかっこいい事をいうつもりも無い。

やめて違うことを考えればいいのだが、
ただ手軽に日常を打破する手段が山登りしか思いつかなかったのだ。

登山道にたどり着いてもやる気は一向に起きない。
落葉の甘く上質のお茶を思わせるような香りが鼻腔を擽るが
そんなことでは僕のやる気を高めることはなかった。

しつこい様だが本当に登りたくはなかったのだ。
山気分を少しか味わったら良いだろうとも思ってもいたから、
中腹の休憩できるところまで行ったら引き返してもいいだろうとも考えていた。

眉間にしわを寄せ山の清清しさを打ち消してしまうくらいの
邪悪なオーラをまといつつ登る山道の一歩一歩が苦痛以外のなにものでもない。
ましてや軽装の少し年上であろう女性が後方から僕をあざ笑うかのように追い抜き
突き放し、少し高い位置から振り返ったのが視界にはいった。

男のプライドが重い足を先に進める。
今回も景色なんてどうでも良くなった。

中腹に辿り着いたが引き返すのがシャクにさわり頂上を目指しながら
引き返すことの出来ない自分の意思の弱さにうんざりしていた。

頂上につけばそれなりの達成感は感じたが、何せ嫌々登った達成感は薄いものだ。

ふて腐れて家に帰り寝転びながらテレビを見ていると大物俳優の訃報が飛び込んできた。
病魔と闘いつつドラマを遣り切ったと聞く。
死ぬまで人は生き続けなくてはいけないようだ。

前回の登山は希望に満ちたものだったが、今回は苦痛だった記憶が残る。

どの道、困難な道のりなら
楽しいことを考えながら足を前に出した方が気持ちはいいのかもしれない。