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コラムインデックス夕焼け空と緑>今日よさよなら、明日もよろしく


今日よさよなら、明日もよろしく
2008年9月11日
気温は高くも、少し乾いた初秋の風は心地よく
旅の後押しをするように優しく頬をかすめていた。
空は相変わらずの青色で雲が思いのままに流れている。

巨大な風車は雄大に回り街に活力を与えているのだろう。
丘を越えた時、目の前に広がった海はいくつになっても声を上げて
「海だ!」と叫んでしまうのは僕の原点がそこにあるからなのだろうか。
遠くに立っている大事が人に手を振っている感覚に似ている。

札幌を離れ2時間半、人気はどんどん少なくなっていく
道を歩く人よりも牛の方が多かったと言うのは語弊があるだろうか?

酒の席で何気なく約束した「美味しい物を探す旅」。
正直記憶は薄かったせいで核心がもてなかった僕は
前日に友人に連絡をしほぼ急遽決行となった。

人口25914人、国内最大の数の子の加工地留萌市にきた。
海町に来たのだから海産物を楽しもうと街を徘徊するが
昼間にやっている飲食店はほぼラーメン屋か蕎麦屋しか見つからない。

街の人に聞こうにも人がいない。
1960年代には人口が4万人以上あったとも言われていたが、
相次ぐ炭鉱の閉山や鰊漁の衰退で人口は減少傾向にあるようだ。

男二人は街に取り残されていた。
あてどなく進む道すがら「海のふるさと館」なる
観光施設的な物を発見しぶらりと立ち寄る。

留萌の歴史が二千万年前から解説されていた。
昔の漁の道具などを見ながら当時、
海を埋め尽くした鰊の最盛期を想像し
鰊富豪は毎日カズノコを食べていたのか、
通風の脅威に怯えていなかったのか、
子供からは「もう鰊以外の物をたべたいよぅ」
などと愚痴を言われていたのではないだろうか。

無駄な憶測を巡らせていた。

中心部に戻り適当なすし屋で食事を適当に済ませ、
新鮮な海産物を探そうと徘徊するが、
時間は12時をまわり1時になりかけていた。

海産物に鮮度を求めるのならば
札幌の場外市場に行った方が良かったのではないかと
旅の目的を否定してしまい、しばし落胆する。

それでも街の魚屋ではその日に
獲れたであろう地物の鮭が並んでいた。

メス2100円。
オス1500円。

卵を持たないオスの商品価値は低い。
しかし、卵に栄養をとられていないオスの方が身は旨いとも言われている。
付加価値に弱い僕はメスを買って帰ったのは言うまでもない。

ちなみにホタテは6枚で500円だった。
何か物足りなさを感じつつその土地を離れたが
今回の旅の目的は岐路に着く道中にあったのは
その瞬間まで気が付かなかった。

街の中で目の端にちらりと映った「日本一の夕陽の街」

山間に広がる黄金色の海に太陽が二つ。
焼き尽くすような輝く銅色の光が瞳孔を突き刺す。
光は海面に道を作り、遠くへ誘う。

同じ時は一瞬もなく振返る度に太陽は水面に近づいていく。

二つの太陽はやがて一つになり、
最後の輝きは閃光となり水面を沸騰させるが如く海面に消えていく。
二人の男は言葉を失いほのかに明るい空を仰ぐ。

今回の旅は送り出すことに出逢う旅だったのかもしれない。

明日もまた日が昇りまた日が沈んでいくのだろう。

初めてさばいた鮭は思ったより血が沢山出て
気持ちが折れそうになった。

腹から出てきた筋子はイクラのしょうゆ漬けにし、
切り身は多彩な料理に生まれ変わり腹の中に納まった。


グルグルまわる地球。グルグルまわる鮭。グルグルまわる僕達。
巡り合い、送り出していく。