写真:葉っぱ
都会のかもめ
心の空白を埋めたくて
膝を抱えるように
ざわめく都会の空を飛ぶ
ビルの谷間に写った影だけが
自分の存在を示すように
波の音は雑踏に紛れ
夕日の代わりに
瞳に写るものは
冷たい街角のネオンの波
早くお帰り
君には 海が似合うから
哀しみは水面下に沈めて
高く飛んでいけ
函館WITHホンダライフ
2009年10月15日
29年前、仕事の転勤で1年ほど函館に住んでいた事がある。
数ヶ月たってから、車の免許を取得した。
その頃、友人が廃車同然に放置されていた、
ホンダライフをメンテナンスしたことを聞き、
譲り受ける事になり、札幌まで取りに行った。
いつ壊れてもおかしくないほど、古かったが、
私はまるで水を得た魚のように、忙しく走り回った。
仕事が終わったあとは勿論、早朝のドライブも楽しんだ。
札幌から次々と友達が来て、元町や、大沼に連れていった。
職場の仲間とも良くドライブした。
函館山へ行った時は、初心者なのに無謀だと皆に止められた。
急カーブが多く、当時は道路の整備も悪かったからだ。
そんな言葉にもめげずに、3〜4回程行った。
助手席に座っていた友人はいつも緊張で固まっていた。
若さは恐いもの知らずで、慎重さに欠けるときが多々ある。
ある時、職場の仲間数人と、夜遅く立待岬に行く事になり、
途中の坂で急にエンストして、ずるずると下がり始めたその場所は墓地だった。
友人達の恐怖の悲鳴が飛び交っていた。
またある時は、血に染まって赤くなったという由来のある
赤墓と呼ばれているお墓が、外人墓地の近くにあると聞いて、
友人達と向かったが次第に雨が激しくなり、
そのお墓の前でエンストし、しばらく動く事ができなかった。
その時も皆の顔が恐怖で引きつっていた。
元町付近には、おしゃれな喫茶店がたくさんあった。
「グリーン ゲーブルス」や、「カリフォルニア ベイビー」は
いつも若者で賑わっていた。
春は松前まで桜を見に出掛け、夏は奥尻島まで足を延ばした。
大沼ではテニスをして楽しんだ。
無鉄砲な若さと友人達に恵まれて、
駆け抜けるように過ぎて行ったあの時間。
あの頃は自分の周りでいつも、
さわさわと風がふいていた。