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コラムインデックスPHOTO POEM>メルヘンの丘

何気ない 一日が

鎖のように つながっていけばいいね

少しいびつになったり ゆがんだりしても

心をころがして 元に戻していけばいい

リボンのように

ほどけたら何度も 結びなおして

柔らかな線で 2008

メルヘンの丘
2008年1月17日
丘の斜面に広がる麦畑の中に、小さな家の赤い屋根が少しだけ見える。
JR駅構内で、そのポスターを見た時からずっと、心の片隅に引っかかっていた。


美瑛の観光地に行って、ポストカードを買い、
売店の方に「赤い屋根の家は何処にあるのですか?」と聞いた。

「赤い屋根の家はたくさんあるからねぇ」とそっけない答え。

「美瑛の丘は何処ですか?」という質問をして、
「その辺丘だらけでしょう」と言われた人の話を紙面で読んで、
間抜けな人だなぁと思った事が、自分も同じような事をしていたのだった。




2007年7月、友人と写真撮影でまた美瑛を訪れる機会があり、
偶然通りかかった景色が、あの赤い屋根のポスターが重なった時、
私は思わず「ここだ!」と叫んだ。

その家は廃屋だが、洋風作りで、白い壁、郵便受けは外付けタイプになっていた。
麦畑の中に、そのおしゃれなデザインが映えていた。


その年の11月中旬、からまつ林の写真撮影で、再び友人と訪れた時、
農耕機の冬仕舞いをしていた老人が「寒いのに良く来たねぇ」と声をかけてくれた。

その人はその土地の持ち主である、末岡さん、82歳。
末岡さんは、赤い屋根の家ファンは全国にたくさんいることや、
九州の女性が、2度もバイクに乗ってやって来た事を、優しい目をして語ってくれた。

末岡さんが、ご自身で写した写真を見せてくれた。
パソコン処理で工夫していたので、「これはご自分で作ったのですか?」と聞いたら
「わしは前田真三の一番弟子だからねぇ。何でもするさ」とおどけたので皆で爆笑した。


写真が好きな人なら、故、前田真三の名前を知らない人は少ないだろう。

前田真三は、1922年生まれ。サラリーマンを経て40代半ばからプロを志し、
偶然通りかかった富良野盆地一帯の光景に感動し、写真を撮り続けた写真家。

1987年、拓真館オープンとともに、観光客は増え続け、
その写真がもたらした影響力は計り知れない。

”前田真三は、「時間によって、風や雲の動きが違うからね」と言って、
一日中その場所で撮影していた。”

嬉しそうにそう話してくれる末岡さんの言葉を聞くと
前田真三さんが、熱心に撮影する姿が目に浮かぶようだ。

末岡さんの話を聞いていると、温かい気持ちになった。

末岡さんにとって、その思い出は誇りであり、喜びである。
それが見知らぬ人々の観光や、写真撮影への寛大さにつながっているのだと思う。




末岡さんの写真には、‘メルヘンの丘’と記されていた。

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