腕時計
2010年4月08日
3ヶ月ぶりに会う息子は大人になっていて、
ほんの少しだけ誇らしくも思えた。
今年高校を卒業し、運転免許も昨日取得した息子に
何かプレゼントをと考えていた所に、彼から連絡がきた。
「卒業記念に時計を買ってほしいんだけど?」
「そうかいいよ、100キンで売ってるやつでいい?」
「父さんの言ってるのは目覚まし時計でしょ?そんなの自分で買うよ。
俺が欲しいのは腕時計で、スーツにも合う大人っぽいちゃんとした時計さ」

「あれ、お前スーツなんて持ってた?」
「母さんに買ってもらったよ。」
「わかった、腕時計ね、明日の3時札駅西改札口で。」
彼はある先生との折り合いが原因で2年で高校を辞め、
自分で見つけてきた通信制の高校に編入した。
彼の胆略的発想には呆れさせられたのだが、
結局3年で高校課程を修了した行動力は、ちゃんと評価してあげたいし、
卒業と聞くと親としてやはり嬉しく思う。
退学、編入に関しては、けして親には話さない心の葛藤が
間違いなくあったであろうし、悔しい思いもあったのであろう。
きっとそれらの経験が、これからの彼を大人に導いてくれるはずだ。
札幌駅で少し背が伸びた彼と合流して時計を買いに行く、
彼が迷わずロレックスコーナーに向かった時には、思わず声が出た
「そこ違う!!」
時計ブランドなど何も知らない彼は「あ〜少し高いよね、6万もする」だと、、、
違います、60万です。
笑いながら選んだ1本の腕時計、
けして高価な物ではないのだけれど、私にとっても嬉しい贈り物が出来た。
卒業おめでとう、その時計と共に有意義な時を刻んで欲しい。
父さんはそう思っています。
別れ際、「父さん彼女いないの?そろそろ結婚したら?
その方が俺も安心だし。俺結婚式出るよ」だと。
あらら、高校出たとたんにこんな台詞が言えちゃうんだ?
ちょっとビックリした私でした。
そんな彼は、今秋アメリカに語学留学する。
渡米前に大人どおし、男どうしの今までと違った思い出となる時を、
出来る限り刻んで生きたい、その時計と一緒にね。
