彼女との生活
2010年2月13日
仕事を終え、ほろ酔い加減で自宅のドアを開る。
シーンと静まり還った玄関をすり抜け、真っ暗なリビングに明かりを灯す。
ちょうどコートをラックに掛けたころに、ベッドルームから必ず彼女はやって来る。
一日の疲れを労うように優しい瞳で僕を見つめ、何もまとわない体で抱きついてくる。
思わず僕は彼女にkissをしてしまう。
「ニャア〜!!」

僕の一番の恋人、子猫のみゅーみゅー生後3ヶ月。
可愛いのである。
たまに酒臭い息で顔を近づけると、鼻をがぶっと囓られる。
イラッとは来るもの、それはそれで可愛いのである。
彼女は小鳥のようでもある、
キッチンに立つ僕の肩にのり調理を見守る。
ちょっと動きづらく、少し重たいのではあるが、
それはそれで可愛いのである。
要はペットにめろめろの、馬鹿親父になってしまったのだ。
彼女は2ヶ月前に我が家にやってきた。
迷い猫が産んだ6匹の子猫に困っている家主がいると知人から聞かされた。
「最悪処分しなくてはいけない」と言う言葉に心動かされ、
一番最初に抱いた子猫をもらい受けた。
運良く彼女の兄弟はみな新しい里親が見つかり、
そのうち二匹は僕の知人宅に貰われていった。
初めての猫との同棲、わからない事ばかりだけれど着実に信頼関係は出来つつあり、
ホステスさんがペットを飼う事が多いのが少しわかるような気がした。
世話をしないと死んでしまう小動物、自分の存在意義がそこにだけは感じ取れるから。
どんな人間もほんの少しの寂しさを抱え生きている、
そんな寂しさを彼らは言葉ではなく仕草で癒してくれる。
当店も存在そのものが癒しになる、そんなBARになりたいものである。
ゆく道はまだまだ遠い。
関係ない話だが、子猫を飼ってから、競馬がちっとも当たらない。
きっと猫と馬は相性が悪いに違いない!!
「ニャ〜!!」
