ダミー
  • 北海道情報doなびへのご意見
  • 北海道情報doなびのサイトマップ
  • 北海道情報doなびへ広告掲載をお考えの方へ
  • 北海道情報doなびへ相互リンクご希望の方

北海道情報doなび|北海道の観光やグルメ情報を発信

グルメ情報トップへ  観光情報トップへ
北海道情報サイトdoなびモバイルサイト


お腹と葬儀と紳士服のAOYAMA
2009年6月12日
礼服を着たのは何年ぶりの事だろう?


先日、大変お世話にもなり大好きだった人を亡くした。
仮通夜に出席するにあたり、久々に礼服なるものを
クローゼットから引っ張りだした。

白のワイシャツ、薄手のソックス、黒のネクタイと白のハンカチ、
黒のベルトに黒のバック、数珠に黒の革靴。
完璧のはずだった。

ワイシャツを着て礼服のズボンをはく、ジッパーがやけにきつい。
思いっきり息を吐き出してお腹をへこませてやっと上まであがった、
がしかし大事なウエストの小さなバックルがかからない。

どうしよう、時間が無いのである。
上着を脱がなければ分からないはずだし、
バックルは留めずにジッパーとベルトで何とか補強して上着を着る。
すすきのバーマスターの酒場日記
等身大の姿見に目をやると、ダブルの礼服のはずなのに、
左右に広がりシングルにしか見えない何とも不恰好な自分がいた、
まして見えずともズボンをちゃんとはいてないのである。

仮通夜のご自宅にお邪魔すると、
ありがたい事に私は部屋の後部のイス席だった。
ウエストにも余計な力がかからないし、
ジッパーが完全に吹っ飛ぶ事もないだろう。

少しホッとし、集中してお経を聞く事が出来た。
たぶん故人にはお見通しなのだろうが、、、

小一時間の仮通夜の儀もなんとかやり過ごし、安心していると、
これも供養だから軽く夕食を食べていってくださいと故人のご家族にすすめられた。
やばい、この状態で何かを食するとジッパーが吹っ飛んでしまうかもしれない。
これから仕事がありますので、と丁重にお断りして自宅に舞い戻った。

コルセット状態の礼服を脱ぎ捨てて
久方ぶりの開放感を体に感じながら、ふと頭をよぎった事がある。
『このままで明日の通夜、明後日の葬儀を乗り越えれるのか?』
答え はNO!である。

30分後、狸小路3丁目、
紳士服店を全国展開するチェーン店、AOYAMAに私はいた。

明日の昼までのお直しの確約をしてもらい購入した替えズボンには、
両サイドにスライド式のウエスト調整機能が付いている(苦笑)。

ウエストの調整機能付きズボンをはいて参列した二日間の葬儀、
色々な事が頭によぎった。

故人のなきがらに心の中で誓った思い、声に出さない約束、
どんな困難が立ち塞がろうとも、現実に出来るよう
諦めないで一歩一歩進んで行こう。

腹回りだけの成長ではなく、本当の意味での成長を誓う。

何事も遅すぎることは無いはずだし、
思い立った今がスタートだと信じたい、歩みの遅い私なのだから。

何かと私を気にかけてくださった故人。
生前、私へのプレゼントとして用意してくださっていたという
珍しいスコッチウイスキーを仮通夜の時にご家族から手渡された。
目頭が熱くなりながら酒を抱えて歩いた帰り道。

故人からの酒は当店の守り神に加わり、
ボックス席の向こうから今も当店を見守ってくれている。

関連リンク