親の心が少しだけわかった夜
2008年11月21日
手広く内装業を営むkさんと
破天荒な青春時代の出来事を話していた。
二人の共通な意見は『親には沢山心配と迷惑をかけた、
今になって親の気持ちが少しだけわかるような気がする』だった。
先日、離れて暮す息子が、
現在通う高校に転出願いを提出したと
以前のパートナーから連絡が来た。
彼は高校2年生、
今年の夏あたりからこの問題が浮上していた。
そりの合わない先生の、
週に2時限の授業をサボったことが引き金になり
段々と登校しなくなって行った。
このままだと留年が見えてくる、
修学旅行もあることだし2年生だけはクリアーしてみないかと俺は言った。
そのうちにいい様に気持ちが変ることを期待して。
多少の不満など、世の中にはごまんとある、
俺のような一人で踏ん張るしかない商売をしていると、
普通に卒業し、進学、大きな会社か公務員、
息子にはそんな事を期待していたのかも知れない。
孫の修学旅行にお小遣いを渡したい
俺の親父から電話があった時、
正直に現状を話し相談した。

何を隠そう、父も天国の母も教員だった。
親の心、子知らずのような話をしたときに
父は電話口の向こう側で笑った。
『ママは泣いていたぞ、お前が水商売をするって言った時。
水商売をさせるために大学まで行かせたつもりはないってね』
父は真剣に悩んだ結果の答えなら
好きにさせてやることをすすめ、最後にこう言った。
『ママは泣いていたけど、俺は何も変らずお前を愛していたぞ』と。
俺は何も言えなくなり、ありがとうと言って受話器をおいた。
俺も何も変らず、愛してやろう。
気が付いて回り道したって遅くはないし。
16歳の決断を無条件に信じてあげよう、
親父がそうしてくれたように。
通信制の高校に編入すると言う息子に、
少しだけ親の心がわかった俺はこう言うだろう。
お前の人生だ、いっぱい悩んで、
いっぱい楽しめ、父さんはいつも応援していると。
さて、Kさんと飲みに行こう、今日は早終いだ。
