短気は損気、笑顔 笑顔
2008年10月31日
いつも笑顔を絶やさないはずのTさんが、
少しふくれた顔をして当店のドアを押した。
最近お気に入りのスパークリング〈ジェイコブス クリーク〉
をボトルで頼み、一緒に飲もうと言う。
私の肝臓も慣らし運転を終えているし、
ありがたく頂戴することにした。
乾杯を終え、しばらくすると、ふくれっ面の訳を話し出した。
会社の宴会後一人で当店に向う途中、
茶髪で安物のスーツに身を包んだ二人組のホスト君に声をかけられたと言う。
『お姉さん、初回はお試しで1500円ぽっきり、
御願いします、少しだけでいいから寄ってってくれませんか?』
『、、、行くところ決まっているから無理ね』
そう言って足を止めずに数メートル。
後ろから聞こえてきた二人のホストの声が
『だからババーに声かけしても意味ないしょ』『ちげーねー』だったと言う。
怒って当然なのだけれど、性格の悪い僕は、
どの部分に彼女が反応したのかニヤつきながら考えていた。
ババーなのか、それとも馴れ馴れしく話し掛けられた事そのものなのかを。
すかさず、何笑っているの!と彼女にお目玉を食らってしまった。
先にカウンターに陣取っていたkさんも話しに加わり、
最近秩序が無くなったススキノや礼儀を忘れてしまった若者を肴に話しはヒートアップ。
少しだけ大人のふりをした私が『短気は損気、笑顔 笑顔』と話をまとめた。
翌日の昼 札幌駅北口 道銀前に愛車(マウンテンバイク)を止め、
銀行業務を終え大丸で買い物し、戻ってきて見ると愛車がない。
大きなトラックが目の前にいて、多くの自転車が乗っかっている、
その中に私の自転車も寂しそうにお邪魔していた。
放置自転車の撤去のようだ、たった30分の間に。
今にも走りだしそうなトラックを止め、
運転席に陣取る3人の作業員に降ろしてもらうように頼んでみた。
『無理だね〜!時間もないし、市の職員も帰っちゃったし。』
そして2キロほど離れた集積場所が書いてある一枚の紙を私に渡し、トラックは動き出した。
私はまだ耐えている。
タクシーを拾い、集積場所へ。
千円を渡し、おつりを待っていると
『お客さん、おつりが30円たりないんだよね〜どうしたらいいかな〜?』
ひきつりながらも私はまだ耐えている。
タクシーを降り、先程、時間がないからと
トラックをスタートさせた小父さんのもとえ歩みより
『持ち帰ります』と言い鍵をはずす私。
後ろから信じられない声が聞こえた。
『撤去料、保管料合わせて二千円です。』
私はもう限界だった、堪忍袋の緒が切れた。
なにおー!!と小父さんにつっかかり、
小父さんを助けようとする後の二人とも揉み合いに、、、
それを見ていた事務所の女性が大きな声で『今、警察呼びました!』
ずいぶんと遠回りをした帰り道、
苦笑しながらペダルを漕いだ、昨夜大人のふりをした自分を思いだして。
短気は損気、笑顔笑顔!今度は自分にイイキカセタ。

※
ジェイコブスクリーク シャルドネ ピノノワール
< リンク >
オーストラリア産スパークリング、
2種の高級ブドウ品種のブレンドによりソフトで
深みのある味わいである。店主お奨めの逸品。
