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Family
2008年8月8日
開店の準備を終え、煙草を愉しんでいると、
たまに顔を見せてくれる二人の男女が同時に入ってきた。

当然二人は顔見知りではなく、
同じ店のドアを開けた事に驚いているようだ。

偶然エレベーターで一緒になったのも何かの縁、
お互いが頼んだフードを御裾分けしあいながら穏やかな時間が流れる。

家庭を持つ男性と実家で暮らす女性、 二人は僕にこう言った
『マスターはいいよね、現在独身の一人暮らしでしょ?
そしてお料理もできるんだから何一つ困らない自由人だよね』

その場は、『そうだね〜とっても楽すぎてやめられないよ』
と答えておきながら『本当か?』が頭の中を駆け回る。

料理?、たしかに出来るけれど。
お客様が食べてくれるから一生懸命作るのであって、
自分の為にはつくらないな。

卵かけごはんかレトルトカレーが関の山だ。

楽?、自宅の玄関を開けおかえりーとただいまーを
一人二役することにちょっと飽きを感じてきたぞ。

みんな他人の生活に憧れるるんだろう、自分もふくめて。
一人で食べる美味しい料亭のお重より、
誰かが家で作ってくれる肉じゃがの方が魅力的だし、
どんなにリッチな高級マンションのシングルライフより
どんな処でも誰かが自分を待っててくれる場所の方が
今の自分には魅力的だ。

あとから来たお客様も加わり、
あれやこれやの話の花が咲きつくしたころに、
独身を羨ましがっていた男性が少し照れながらこう言った。

『マスターご馳走様、そろそろ行くよ。
たまにかみさんと子供に、たこ焼きでも買って帰えろうかな。』

『うっそー、じゃあ私もお母さんに何か買って帰ろうかしら』と女性。


羨ましく思ったのは僕のほうで、
みんなちゃんとわかっている事に微笑ましさも感じた。


閉店時間を迎え行灯の光を消した時、
何故か息子の顔を思い出している自分がいた。

さてと、帰ることにしよう。



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