CHANGE!
2008年7月25日
先週、北海道食楽協会のお招きをいただき、
ウィスキー講座の講師を務めさせていただいた。
この協会は生産者から、流通業者、飲食店、一般消費者までの
多くの方から構成されており、調理法などの勉強会や意見交換、
グループワークなどの実技にも力をそそぐ団体だ。
食と何かと付随するお酒について話して頂きたいとのオファーだったので、
一番知られている食後酒、ウィスキーについて約30分ほど話させていただいた。
大勢の真剣な眼差しに少々緊張しながら、自己紹介から始める。
出席者をカボチャだと自分に言い聞かせながら、私のつたない話がすすむ。
たぶん、こんな話をしたと思う。
酒が今のように美味くなったのには大きなハプニングから生まれた。
18世紀のスコットランド、酒税が掛かるようになり、
酒の作り手は山の中に逃げ込み、密造に手を染める。
山の奥地では、今まで簡単に手に入った麦を乾かす為の
乾いた木材などは見当たらず、山奥にも沢山ある泥炭で代用した。
そうすると、ほとんど無臭に近かった酒に、燻ったような香りが付いた。
蒸留してから麓に運ぶまでの間、
シェリー樽に入れ酒を隠しておいて見ると、
なんと無色だった酒が、琥珀色の色味をおびた。
近代スコッチウィスキーの原型が出来上がった。

酒作りに対して苦しい仕打ちが、
反って酒を美味しく進化させたのである。
たぶん、こんな話をしたと思う。
人も似ているような気がする、
ノホホンと生きていれば成長も見込めない。
涙が出る程の、苦しさ、喜びを、出会い、別れを
味わって成長してきたはずだ。
ただね、人と酒が違うのは、
人は自らの意思を持って変われるってとこじゃないかな?
俺もほんの少しでもいい、
自らの意思を持って素敵な男に近づいていきたい。
※
北海道食楽協会
http://www.shokuraku.org/
